『許さない』に隠された勝手な心理~横浜心療内科コラム

『許さない』に隠された勝手な心理~横浜心療内科コラム

◆ コロナウイルスを許さない。

最近、少しずつ新型コロナウイルスの流行も落ちついてきました。
とはいえ日本以外の各国はいまだに予断を許さない状況です。

「許さない」で思い出しました。

つい少し前のことです。

ネット上で、ある人が「コロナ許さん」と書いていました。

これを見て感動したのです。
すごい、こんな言葉の選定があるとは、と。

コロナを許さない。

いや、コロナも別に許認可なんて望んでないですし、そもそも生命ですらない構造体ですからね。
人心すら理解しない。それ以前に「俺は許した!」なんて勝手に言われても困る。

この「許さない」と主張したい人って、精神的に、すごく純粋な心を持ったまま成長したのだな、と思います。

「自分が世界の中心で、自分が許さないということに、すごく大きな主張的な意味がある」

という意識が潜んでるのではないかと。
子供が「ママ、ダメー!」「僕これ、キライ!」と主張するのに近いというか。

自分はもう「僕なんかが許さないと言える立場にないです」としか思えない。

◆ コロナウイルス、嫌い。

関連して思い出しましたが、コロナウイルスに関する「替え歌」がありました。

「Pretender」という歌の「君は綺麗だ」という歌詞を「コロナ嫌いだ」と言い換えたというものです。

これもすごい。
いや、「綺麗」と掛けるために「嫌い」にしてるわけですが、それでもすごい。

コロナウイルスにたいして「嫌い」という主張に何の意味があるのだろう。

目の前で友達や家族、また同じ街の人を殺しまくる殺人鬼がいたとして、それにたいして「あいつ嫌い」っていう人みたいな。

え、それだけ!? めっちゃ寛容じゃない!?

ちなみにさっきの「コロナ許さない」で言えば「殺人鬼許さない」となります。

許さない!分かった!それでどうしてくれるの!?あいつをやっつけてくれるの!?

「いや、許さないだけ」

それだけかよ!と。
そもそもお前が許そうが許すまいが、法律が許さないことは確かだよ!と。

何にせよ、個人的に「許さない」「嫌い」という主張って、結構ネット上ではたくさんあります。

「あの芸能人、許さない」…
「あの有名人、嫌い」…

ホントそういうのを見るたびに「だから何?」とずっと思っていましたが、その対象がコロナになることであらためてその思いが浮き彫りになったように感じます。

許さない、嫌い。
そんな主張をわざわざ行う人は、ただの子供。

「ママ、僕これ嫌い!」「パパ、それやったらイヤー!」

という子供と何も変わらないのです。
気をつけましょう。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

 

そして今回、三冊のマンガと本が出ています!

マンガで分かる心療内科19巻「ゲーミフィケーション編」

心理学は役に立たない!? 3巻

⇣こちらも Kindle 電子書籍の新刊です! ぜひ!

「ストレスは身体に悪い」と考えるのが間違い!

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。