ミカンを一切の文句なく分ける方法~横浜心療内科コラム

ミカンを文句なく分ける方法~横浜心療内科コラム

「ミカンを分ける方法」というものをご存じでしょうか?
それはこんな問題です。

あるところに、大きなミカンと、小さなミカンがありました。
これを二人の子供から文句が出ないように分けたい場合、どうするのがいいでしょうか?

もし一個ずつ渡した場合、小さい方を渡した子供から文句が出ます。当然です。

「あぁっ! 僕だけ小さい! 快感…!」
という被虐的な少年はそうそういないと思います。

おそらくよくある回答はこうです。
「どっちのミカンも半分にして、大きい方の半分と小さい方の半分を、それぞれに渡せばいいのでは?」
これ、結構、正解に近いと思います。素晴らしい。

ただ分ける人間が不器用で、それぞれうまく半分に割れなかったらどうするか。
そもそもミカンって、房に分れてますからね。この房が奇数だったら最悪です。ちょうど半分に割れない。余りの1房を半分にするのもどこまで納得されるか、という話です。

さぁ困った。

回答は…?

それこそが「全部ツブして、ジュースにする」というもの。
そう。ミカンジュースという液体にすれば、半分にするのはカンタンです。
ミカンの房などと違って余りがありません。
特にハカリなど使えば、1ml とかそれ以下の単位まで、かなり正確に半分にできるはずです。

よく「頭の体操」みたいな本に掲載されている問題で、これによって出題者は
「固定観念に囚われていてはいけない! 頭を常に柔軟にしよう!」
みたいに結論づけてます。

それ本当に正解か。

いや、言いたいことは分かるんです。
でもね?
ジュースですよ?

「ぼく、ミカンのまま食べたかったのにー!」

っていう子供が絶対出ます。

そりゃそうですよ。少なくとも「食感」とかは失われちゃうわけですし。

高級レストランで出てきた料理を全部ミキサーにかけて「飲めば一緒でしょ」に近い。

失われた! 失われてないようでいて失われた!

さらに大きな回答は。

ちなみに「もっとスケールの大きい回答」というものも存在します。

それこそが
「ミカンからタネを取り出し、それを地面に埋めて、たくさん収穫できたあとで半分に分けたら、文句は出ない」
というもの。

大きい!
スケールは大きい!

でもそれで収穫できたミカンが101個とかだったら、やっぱりモメると思う!
たとえ偶数だとしても、やっぱりサイズ違いとかあってモメると思う!

それ以前に飢えた子供たちがいったい何年待てると思うのか!
僕は待てない! もう今すぐ食べたい!

固定観念から脱却することは素晴らしいと思うんですが、同時に失ってしまうものもたくさんあるんだな、と思いました。

人生の難しさ。

ちなみにジュースにしないという前提でベストな回答というものもあります。

それこそが「片方が『これなら平等』となるように分けて、もう片方が好きな方を選ぶ」というもの。
ミカンだったら、まぁ、片方がうまく切り分けたりすればOKですね。

まぁ、それであっても、選ぶ方が
「あのコがベタベタ触ったミカンなんてイヤだ!」
とか怒り出すかもしれませんけども。

みんなから文句が出ない方法の選定って非常に難しいことを感じつつも、ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)

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ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。